1872(明治5)年11月、政府は急遽、1873年1月1日から暦を改めることを布告します。改暦が実施あれるまでわずか一月あまり。多くの人が戸惑ったことでしょう。明治に時代を移し国の制度も大きく変わりました。そんななか、暦の改革は全国民に大きな影響を与えることとなります。人々も時代の変化をことさらに感じたことでしょう。
そんな折に、福沢諭吉が一般市民向けに新しい暦の制度をわかりやすく説明したのが本書です。当時のベストセラーになったとの記録もあるようです。
内容は従来の月の動きを基準とした暦(太陰暦)から太陽の動きを基準にした太陽暦になることを記します。
そしてこんな言葉も記します。
「月は附(つき)ものなり。附ものをあてにせずして・・・・」
単に説明するだけでは無く、積極的に新しい暦の利点を語り、旧来の暦を否定していきます。
当時、政府の諸々の改革案に対して国民の不信感もあったのでしょうか。こんな言葉も諭吉はそえます。
「故に日本国中の人民この改暦を怪む人は必ず無学文盲の馬鹿者なり。これを怪しまざる者は必ず平生学問の心掛ある知者なり。されば今度の一条は日本国中の知者と馬鹿者とを区別する吟味の問題といふも可なり。」
教育者の心根でしょうか。なかなかに辛辣です。
全文は、青空文庫にも掲載されています。
https://www.aozora.gr.jp/cards/000296/card46668.html
また追々、画像にて全書を提示できればとも思っております。
本書、2冊所有しております。虫食いが多々あるのですが、展示等でご使用を希望される方はお気軽にご連絡頂ければと思います。