ラランデ暦書 1764年初版本

ラランデ暦書とは、パリ天文台台長であったラランデが1764年に出版した最先端の天文学を紹介した本になります。天文書なのに暦書と紹介されるのには理由があります。このラランデ暦書はフランスで出版された後、オランダに渡り翻訳されます。それが、オランダと交易していた江戸幕府に伝わってきます。幕府の天文方、高橋至時はこのラランデの本から最先端天文学を吸収して寛政の改暦を行うのです。西洋の天文学を使って、暦を新しくするのは初めてのことでした。ラランデ暦書にはケプラーの法則や地球の形状、惑星の運行など今に通じる知見が含まれています。意外な人もこの恩恵にあずかりました。伊能忠敬です。伊能が全国を歩きながら測量をしていたのですが、どうしても実測と理論値が合わない状態が生じるのです。高橋至時に学んでいた伊能。ラランデ暦書の中にヒントがありました。当時日本では地球を完全な球体としてあつかっていたのですが、ラランデ暦書には赤道方向に少し伸びた楕円体であると紹介されていたのです。最先端の情報が伊能忠敬の伊能図の精度を大きく上げることに役立つ事となりました。また逆説的ですがこの事は伊能忠敬の実測がいかに精度の高いものであったかも物語っています。

本資料は、1764年にフランスで出版された初版本になります。全5巻なのですが、1巻、2巻を所有しております。表紙は羊のなめし革、書籍内には美しい図版も数多くあり、学問にたいする当時の人たちのリスペクトを感じさえします。
国内にはオランダ語訳が数点公開されていますが、フランス語の初版は非常に貴重な資料です。研究目的や展示での使用も含めご興味のある方はご一報頂けましたらと思います。

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