【小話】六分儀と四分儀・八分儀 その1

四分儀・八分儀 編
3大流星群と呼ばれるものがあります。一年で3回ほどある流れ星の多く流れる時。
1月初旬のしぶんぎ座流星群。8月中旬のペルセウス座流星群。そして12月中旬のふたご座流星群。それぞれ多くの人が注目する流星群です。
年始にあるしぶんぎ座流星群は、その年の幕開けを飾る天文現象とも言えるでしょう。
この流星群の由来となったしぶんぎ座。実は現在制定されている88星座の中にはありません。1930年に88星座にまとめられた時に採用されませんでした。元々はフランスのパリ天文台長であったジェローム・ラランデが天体観測装置として使われていた四分儀をイメージして名付けられたものです。
この四分儀ですが、天体観測機器とは別の意味を持つ機器としても名が残っています。
航海用として使われていた四分儀です。
古代から船乗りたちは大海原で緯度と経度を正確に知ることが命を守るために必須でした。その為に天体の動きを利用するようになります。
ちなみに経度0度にあるイギリスのグリニッジ天文台は、こうした航海で必要な星のデータを観測するために設置されました。
さて、天体を利用すると行っても、どのように利用するのでしょうか。
端的に述べると、星の高さを正確にはかるのです。ある時間の星の高さは、その観測地の緯度と経度によって規定されます。それを利用してある時間の星の高さを知ることによって緯度と、経度を計算するのです。
航海用に作られた四分儀には歴史があります。古代には星の高さを測る装置として「アストロラーベ」が作られました。紀元前からコロンブスの時代(1500年頃)まで使われています。その後、より正確に高さを測定できるよう「クロススタッフ」という機器が登場します。クロススタッフは1500年代に活用されました。そして1500年代末に考案されたのが、デービス四分儀というものです。四分儀とは360度ある円周のうち90度を活用するもので、ちょうど円周の4分の1に相当することから名付けられています。せっかく考案されたデービス四分儀ですが、欠点もいくつかありました。航海士たちはより使いやすく正確な機器を求めていきます。
そして1731年にジョン・ハドレーがハドレー四分儀を提唱します。鏡を2枚使った画期的な方法でした。1600年代後半にはアイザック・ニュートンやハレー彗星で有名なハレーも同様な計器を発明していたようです。
このハドレーの四分儀ですが、実は円周の八分の1を使います。鏡を2枚使って反射光を利用するために、半分の45度の弧で90度までを計測できるものとなりました。
ハドレーの発明は四分儀として伝わりますが、航海計器として実用化される過程で「八分儀」として世に出ます。
この八分儀、大活躍をします。航海計器としては、ケルビン卿の磁気コンパス、ジョン・ハリソンのクロノメーターに匹敵するほどの時代を変える発明でした。

八分儀は1850年頃まで使用されていきますが、その後小型望遠鏡を取り付け、すべてを金属で制作されるようになった六分儀へと役割を譲っていきます。

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